2013年4月2日火曜日

Introduction to Entrepreneurship

1年生のSNです。
MOD III(1~2月)に受講したIntroduction to Entrepreneurship の授業を紹介致します。

MODIIIに入ると必修二科目と選択科目を自由に選ぶ事ができ、MOD IIIとIVの選択科目は1年生と2年生が混ざって受講します。来年までには賢い発言を出来る様になっていないと恥ずかしいなぁと良いプレッシャーを感じます。

授業のフォーマットはケースを読んで事前にWebで質問に答えます。その回答が名前付きで授業中に全員分提示され、生徒同士の対立する意見を戦わせる形式で授業は進みます。但し答えは1 sentence までなどと限度が短く、やたらと長い一文を書く人が現れたりして面白いです。教室もコア授業の半分くらいで教授との距離が近く、毎回全員に発言の機会がありました。最後にはケースの主人公本人がビデオで現れて話のオチを聞く事が出来ます。

初回の授業の質問は、「Entrepreneurshipとは何か?」この教授の問いかけに、InnovativeだとかCreate New Valueだとか発言が飛び交い、私がパン屋さんで起業も出来るじゃないと言えば、何かその地域でNew Valueがあるはずだと反論されたり議論に花が咲きます。成功事例でポーターの5 Forces分析をみんなで行った結果、「止めとけ」という結論になり序盤から反体制風の面白そうな雰囲気が立ち込めました。起業において5 Forcesなんかするとダメな理由が浮き出るばっかりで前に進めないのだそうです。私の授業でFrameworkは一切教えない、成功の法則はない=極論運である、とも言いかねない何でもありの様相です。

そんな始まり方をしたこの授業は、様々な角度からEntrepreneurshipを紹介してくれました。Start Up、Grow Up、Exitの3ステージのケースをバランスよく扱い、成功例と失敗例や引き分け的帰結など色々扱います。君もやってみろよと挑発されているのか、自重を促されているのか、両方の側面を持ち合わせていました。就職か起業か?という議論もありました。先に就職派と就職は何時でも出来る派の意見を聞きながら、起業したら一生社長なのが通説だと思って発言したのですが、起業の経験を買われ後々大企業に雇われるケースが米国には往々にしてあると改めて気付かされました。授業の趣旨とはズレますが、米国の懐の深さを学んだ気がします。日本では一度旗を揚げると雇われの身には戻れないという現実があり、減点主義では挑戦へのインセンティブが乏しく社会が活性化しないのだなと勝手に結論づけてしまいました。

Frameworkは無いと断ったこの授業ですが、Cash is Kingは金科玉条であるとゲームやケースを通じて繰り返し教わります。最後に教授がこう締め括りました。「Revenueは虚無(vanity)であり、Profitは現実(reality)でしかなく、Cashこそがビジネスの命(sanity)である。」
海外子会社立上の際、色々と送金に手間がかかり、事務所の大家が赤ん坊を抱っこして家賃の催促に来るという珍事に見舞われた事があります。「日本人ウソつかない」的な交渉をしましたが、名もない企業であれば不渡り同然。
本社の営業部で働いていると売上と総益のみが議論の具になりがちで回収の事は重々注意しますがCash Flowの切り口で語った記憶がありません。経理部門の在庫圧縮号令を疎ましく捉えたり、部門毎に全体視感が弱くなるのが大企業病の一因なのだろうなと、これまた一人で勝手にうなずいています。

最後の課題は、起業家を見つけてその方のケースを書くというものです。企業が集積するResearch Triangle Park(RTP)にある面白そうな企業を見つけてくるClassmateの傍ら、知ってる人がいるから安心しろというTeammateに任せていました。面談前日、どうやら彼はPlumber(配管工)らしいとアポの時間通知を貰いました。実は良く知らなかったそうですが、もう時間がないのでこのまま行こうと。

「高校を卒業して、ガーナでのミッショナリーから帰ってきて、初めてやった仕事がPlumberで、それ以来Plumberさ。」っと彼の人生を紐解いていきました。独立に至るまでの話を聞いていると意外に微妙なニッチを突いた内容でした。先月見習いを1名雇い出したそうで、非常に地に足の着いた成長プランを聞かせて頂きました。

ケースに出てくるようなHBS卒業生でもUNC卒でもない高卒の彼が、このChapel Hillで確かに5 Forces分析ではあり得ないPlumberの業界に参入し、個人としては十分な収入を得て、まともな成長戦略を考えている、というような事をまとめて提出しました。

成功の定義は色々あるなと、示唆に富んだ視野の広がる良いイントロ授業でした。

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