2024年4月16日火曜日

Class of 2024MTです。

時がたつのは早いもので、卒業まで残りわずかとなりました。あと半月ばかりでこの街、この広い青空ともお別れかと思うと寂しくなります。ここではUNCでの2年間を振り返る中で、「海外MBAの価値」について思うことを書いてみたいと思います。もっとも、私の経験はUNC、更にその中でも狭い範囲に限られますので、あくまで一個人の見方としてご容赦頂ければと思います。

【はじめに】
そもそもですが、海外MBAにはどのような価値があるのでしょうか。なぜ我々は貴重な2年間を費やしてまで海外MBAに進むのでしょうか。
よく指摘される海外MBAの価値を大雑把に括ると以下の3点になるかと思います。 

1)  経営に関連するスキルの習得(全般、特定問わず)
2)  多国籍のメンバーと協働する経験(含むネットワーキング)
3)  キャリアアップの機会(含む転職、海外就職)

この内、3)については色々と思うところはあるものの、私は社費生ですので他の記事に譲るとして、1)2)についてみていきたいと思います。

MBAの価値】

1) 経営に関連するスキルの習得(全般、特定問わず)
そもそも「経営に関連するスキル」という言葉が極めて抽象的ですが、ここを掘り下げると細かくなるのでやめておくとして、では「スキルを得る」とは具体的にどういうことでしょうか。とある心理学のモデルでは以下のステージを踏むとされています。

ステージ1:自分が何を知らないか理解していない。そのためスキルの必要性にも気づかない
ステージ2:スキル不足を認識し、意欲的に学習を始める。
ステージ3:スキルを徐々に活用する。
ステージ4:スキルを体得する。

これらの内、MBAはどのステージに当てはまるのでしょうか? 学校や人によりけりかもしれませんが、多くの場合、ステージ12に該当するのではないかと思います。MBAの多種多様な機会は自分の無知を気づかせてくれますし、本人のやる気さえあれば様々な分野に手を出すことが可能です。その一方で、MBAの中でステージ3から4に達することはなかなか難しいかもしれません。これらは実務の中で成功と失敗を繰り返す、辛抱強い道のりを必要とするためです。現場で日夜戦うビジネスパーソンからすれば、ステージ12のような「理論を知っている」段階と、ステージ34のような「ノウハウとして使える」段階は別次元に映るように思います。

もちろん、だからといってMBAの学びを否定したいのではありません。むしろ大いに価値があると考えています。なぜならば、ステージ2まで進んではじめてステージ4まで飛躍することができるからです。

では、ステージ12が海外MBAのメインであると仮定すると、それは果たして海外MBAでなければならないのか、という疑問が生まれます。比較対象として第一に挙げられるのは国内MBAだと思います。私自身は国内MBAに通った経験がありませんので、本来は比較できないのですが、単純に考えると国内MBAでも十分なのではないかと思います。むしろ、私のような純ジャパの方からすれば、英語よりも日本語で学ぶ方が圧倒的に効率が良いかもしれません。(更には、コスト面でも大きな差がありますね)

続いて自学自習する手も考えられます。かつて私の隣の部署の先輩が、「分からないことがあれば勉強すればいい。勉強せずにわからないなどと言うのは怠慢」と言っていました。その言葉を思い出し、この2年間で100冊ほどの書物に手を出しましたが、実際のところMBAで学ぶ原理原則の80%ぐらいは本に書いてあると感じます。また、本だけでなく、今や様々な媒体を通じて学ぶことが可能な世の中となりました。そう考えると、ステージ12は自学自習でも対応可能では、とも思われます。ただ、これは多少理想論のようにも思え、現実的に考えると、様々な分野を体系的に自学自習するのは容易でない、というのが多くの人の悩みになるかと思います。

よって、スキル習得の観点では、国内MBAと海外MBAが同レベル、自学自習は次点、というのが今の私の感覚です。
こと私に関していえば、ステージ12は自分であらかた済ませていました、ということは全くなく、仕事の経験のみをベースとして留学しました。そのため、特に1年目は目が見開かれる思いをしましたが、もしかすると自分が不勉強だったことの裏返しだったのかもしれません。もちろんそれはそれでいい学び・経験になったので、何も知らずに突き進むよりもよっぽど良かったと思います。無知を気づかせてくれ、様々な分野の学習機会を与えてくれたUNCや会社に感謝です。

2) 多国籍のメンバーと協働する経験(含むネットワーキング)
個人的には、海外MBAが差別化される点はこちらの方にあるのではないかと思います。特に、多国籍のメンバーとの協働により、自分の実力不足を痛感すること 価値観の相違に直面すること 将来困ったことがあればこの人に聞こう、という仲間ができること が挙げられます。

まず①については、そもそも留学前に会社で妙な気持ち悪さを感じていたことが背景にあります。当時の私は若手と管理職の狭間のような立場にあり、その中では最も実務経験を積んでいました。そのため若手からはヨイショされ、一方で上司から怒られることも少なく、自分が成長しているのかよく分からないと感じていました。そうした中でいざ留学してみると、自分以外は全員アメリカ人というグループで容赦ない英語の高射砲を浴びたり、齢10近くも違うメンバーから「このオッサン大丈夫か?」という視線を浴びながら汗をたらす経験は、様々な点で伸びきってしまった私のバネを十分に踏んづけてくれるものであったと思います。

続いて②に関して。私は幼少期から日本で暮らし、日系企業で10年も働いたことで既に立派な金太郎飴の一部になっています。これに対し、海外MBAという機会は「自分が思う以上に世界は大きく広がっている」ということを感じさせてくれます。これは何も、言葉の感覚が違う、とか、時間の感覚が違う、とか容易に目に見えるものを指すだけではありません。その根っこにある歴史や文化について知ることで、少しずつ相違を理解することが可能になる、ということです。やや大げさかもしれませんが、ダイバーシティある環境を成り立たせるためにはその生みの苦しみの連続が必要であり、アメリカという国は本当に大変なチャレンジに直面し続け、またこれからもしていくのだな、と感じています。

例えば、私はインド人のフレンドリーさが大好きですが、グループワークは時に困難を伴います。私の感覚では、各自の課題を期日までにやる人は半分くらいで、期限に遅れる(というかやっていない)ことを悪びれません。こちらとしては皆で「やる」と決めたことをやるのは普通であり、できない場合は事前に連絡すべきと思うのですが、どうもそういう感覚ではないようです。しばらくは不思議でしたが、実はそこには背景があるようで、曰く、彼らの中では「できない」と直接的に明示することは自分の弱さを示す恥ずかしいことであると、それならば「できる」と表明しておいて、結果的に「頑張ったけれどもできなかった」という形にする方がよい、ということのようなのです。これにはなるほど、と思わされました。(とはいえ、期限の数日前には共有しているメモに対して、期限前日の深夜になってあれこれ質問されると、「こっちの都合は気にしないんかい」とイラっとしてしまうので、私もまだまだ修行が足りないようです)

最後に③ですが、今後、各国で何か聞きたいことがあればこの人に、という友人ができることは海外MBAの大きな価値だと思います。厳然として残る人種差別について話してくれたアメリカ人、モディを賛美しつつも酒が深くなるとその問題点を切々と語るインド人、日本のユニークな人事制度に興味を持つナイジェリア人などをはじめとして、各国のグローバル人材と様々な話をする関係性が築ける(しかも薄い利害関係で)ことは海外MBAが与えてくれた財産です。それを容易にしてくれるUNCのスモールコミュニティにも感謝しなければいけませんね。

以上、多国籍のメンバーと協働する経験について、その良さを3点述べました。他にも良い点はたくさんあるかと思います。ただし、これらの経験の価値は、究極的には自分ではなく他人が評価するものであるとも思います。たとえ私が自分の経験を高く評価していたとしても、その経験が周囲への態度や行動にポジティブに表れない限り、単なる自己満に過ぎません。ということで、これを自分への戒めとしつつ、今後の仕事を頑張らねばと思う次第です。

さて、他にも思い返すと色々と書きたいことが出てきますが、ここらへんにしておきます。チャペルヒルは本当に良い街でした。天気が良く、治安が良く、自然が多くてとても過ごしやすいです。またいつかふらっと訪れたいものです。

最後に、出願から始まって様々なステージでサポート頂いた先輩方に、この場を借りて感謝申し上げます。


2023年11月3日金曜日

【告知】UNC Kenan-Flagler Business School 日本人在校生説明会 12/16(土)開催

日本人在校生によるKenan-Flagler Business School Full-time MBA Programに関するWebinarを開催致します。

Webinarでは以下の内容を説明しながら可能な限り皆様の質問にお応えし、在校生のリアルな声をお届けできればと思います。

Full Time MBA Programの概要

・プログラムの特徴・授業構成

・チャペルヒルでの生活

・アプリケーションプロセス

・質疑応答

 

また、本Webinarを可能な限りアプリカントの皆様にとって有意義なものにする為に、以下参加申込フォーム内で事前質問を受け付けております。

当日は事前質問内容にもお答えして参りますので、ご不明点や気になる点がある方はお気軽にご記入ください。

 

・開催日時:20231216()13:00-14:00 (米国時間1215日金曜日23:00-24:00)

・開催方式:Zoom

・申し込みフォーム:https://forms.office.com/r/aaURpLL3jg

上記に記載頂くメールアドレスへ、後日Webinarに関する詳細をお送りします。

※ 尚、本Webinarは非公式に行うものであり、選考とは一切関係ありません。

 

<日本語サイトでは、随時質問を受け付けております。>

UNC MBA日本語サイト:http://public.kenan-flagler.unc.edu/mba/JapaneseApp/index.html 

2023年10月28日土曜日

GIE Strategy and General Management in Zambia and Zimbabwe

Class of 2024のMMです。今回は、私がMOD4に参加したハンズオンプログラム、Global Immersion Electiveを紹介します。UNCの海外プログラムに興味がある方々のご参考になれば幸いです。


  GIEプログラム概要

59日~16日の1週間、アフリカのザンビアとジンバブエを訪問し、現地の民族性や文化、商習慣を現地で体感しながら、現地企業を訪問しStrategy and general Managementをテーマに彼らのビジネスを学習するプログラムである。また、現地訪問に加えて、渡航前後のクラスに参加し事前及び事後学習が要求される。

 

  渡航前クラス

渡航前クラスは全部で4回実施される。初回クラスでは、ザンビア・ジンバブエへの渡航に際しての衛生面・安全面・治安の注意事項と渡航に関する予防接種の説明、2か国の歴史・文化・人口統計の紹介を受ける。また、2018年のジンバブエ大統領選をドキュメンタリーとしてまとめた映画「The president」を事前視聴し、クラスで感想を述べ意見交換を行う。ジンバブエは長く独裁政権が続き今も公正かつ透明な選挙が行われていない歴史を持つ。公衆衛生や経済発展を含めて、米国の豊かさと比較して意見する同級生たちが印象的であった。2回目のクラスでは、異文化経験を通して自身が成長させたい文化的多面性について自己分析する研修、3回目のクラスでは2か国の歴史・公衆衛生・経済・文化・隣国関係・政治体制を、4回目のクラスでは2か国にて訪問する企業・NGO・ゲストスピーカーについて、各学生グループが自ら調査しクラスで説明する。


なお、ザンビア・ジンバブエ現地ではゲストスピーカー含め13企業を訪問し、現地の商習慣・教育体制・医療体制・自然環境を体験学習した。ハイライトとなる企業と現場を3つ挙げたい。


・Zambeef

Zambeefは酪農からデイリー製品の製造販売、鶏・牛・豚などの畜産業に加えて、加工肉を使った小売業まで営んでいるザンビアのコングロマリット型企業である。訪問した拠点では、酪農オペレーションに加えて小麦粉製造場と牛乳充填工場を見学する事ができた。製造業出身の自身にとって、安全管理・衛生管理・オペレーションの違いや共通点を自身の目で認識できた事が収穫だった。例えば、Zambeefはザンビアのトップ食品メーカーであるものの、工場内入場時の防虫対策や牛乳生産ラインでの内容物漏れなどが散見され、日本や他の先進国の食品工場の衛生管理基準には及ばない。インフラが未発達で衛生面より食品自体の供給に価値があるザンビアでは、衛生品質に対する消費者の許容度・期待値が先進国とは違うのだろう。消費者の特性や期待値が違えば、供給する側の管理項目や品質レベルが異なる点を目の当たりにし、アフリカビジネスの需給事情を考えさせられた貴重な訪問であった。


・African Touch

地元の木材を使いオーダーメードの手作り家具を製造しており、ジンバブエと隣国のみならず欧米諸国にも輸出販売している成長企業である。また、米国のSNSインフルエンサーにAfrican Touchの商品を偶然拡散してもらった事を機に、SNSを用いたデジタルマーケティングに力を入れ、グローバル市場でプレゼンスを発揮している。渡航前はジンバブエの経済・ビジネスを過小評価していたが、地域特性と地元の原材料を活かしてグローバル展開するAfrican Touchビジネスの力強さに感銘した。


・教育・医療の現場:

教育・医療の現場で活躍するNGO関係者とその現場力が印象的だった。現地の教育を理解する為に、私たちはジンバブエの教育環境向上に尽力しているChildren in the Wilderness (Mizpah School)を訪問した。4歳から10歳までの児童を対象にした学校では、平均5kmの道のりを歩いて通う子供たちが青空の下で楽しく笑顔で学び、廃れた教室でぼろぼろのノートに丁寧に英語と数字を書き勉強する姿を目の当たりにした。医療分野では、野生環境下での救急医療を行うDr. Jeans Michael (ACE Air and Ambulance)から、十分な医療機器がない中での救命医療の実態を聞く。一見、先進国並みの医療機器の供給が喫緊の課題と思われがちだが、高度な医療機器や物資がない中で救急救命医療を実施する人材の育成・人材の持つスキル・救急医療のチームワークの大切さを熱く語ってくれた事が忘れられない。



総じて、ザンビア・ジンバブエの商習慣は、日本と似ている点が多い。タスク傾向よりチームで調和しながら仕事を進め、米国とは対照的に年功序列の文化が残っている。両国共に、人はとても友好的かつオープンであるが、経済発展途上の為、お金に対する貪欲さが異常に高い。観光地のレストラン・ホテル・公共交通では米国ドル紙幣が流通紙幣として使用できるが、ホテルスタッフやタクシードライバーはUS$1でも多くチップを貰おうと必死である。


最後に、24人の同級生と1週間を共にした旅は、期待以上に米国MBA生と交流できた瞬間でもあった。これも学生規模が小さいスモールスクールの良さだろう。現地での車中移動、現地体験イベント、夜の食事を通して、通学だけでは深められない絆や交流を持つことができた。アフリカ2か国の政治・経済・教育・医療体制を含めて包括的に現地ビジネスを理解し、商習慣に触れ、民族性を感じ、同級生と貴重な時間を過ごせた充実したプログラムである。

                                   以上














2023年8月23日水曜日

アメリカ製薬会社でのインターンシップ体験

MBAの学生は、夏にインターンシップ・プログラムに参加することができます。この期間、私はアメリカの製薬会社でオペレーション&ストラテジーの部門でビジネス・アナリストとして働きました。この機会に、アメリカでの労働環境でのサバイバル能力を磨くだけでなく、MBAで得た多様な知識を応用することができました。

MBAの授業が実際のビジネスの世界でどのように応用できるのか、興味を持つ人がいるかもしれないので参考になれば幸いです。私の場合は、データ分析とオペレーション・マネジメントのスキルは、データを使ってビジネスオペレーションの最適化したインターンシップのプロジェクトで非常に貴重なものでした。

私のプロジェクトは、開発コストに大きな影響を与える医薬品開発プロセスにおけるリソース配分(人員や予算)の意思決定プロセスを最適化することでした。現在の意思決定プロセスを理解し、プロセスを最適化するソリューションを提供しなければなりません。私はMBAプログラムのオペレーション・マネジメントの授業を通じて学んだ知識(プロセスフロー図と稼働率と生産性の指標など)を応用して、業務プロセスをマッピングしました。この構造化された方法は、チームが問題を特定し、意思決定のための潜在的な解決策を見つけるのに役立ちました。また、リソース配分の決定には複数部署のデータセットが必要で、それらの間にはギャップがあり、透明性が欠如していることが問題でした。Power Query を使ったデータバリデーションや、複数の仮説に基づいた予想モデルを提案し比較することにより信憑性を向上させ、意思決定の標準化を進めました。その結果、財務やビジネス・インテリジェンス部門などのステークホルダーとのコンセンサスを得ることができ、最適な意思決定プロセスを提案することができました。

さらに、リソース配分(人員や予算)の意思決定プロセスに、あるパフォーマンス指標に基づいて人員数を決定する新しいアイデアを提案することができました。このアイデアを提案する際には、 データ分析の授業で学んだデータ分析プロジェクトのフレームワークを活用することが出来ました。例えば、 必要なデータを得るために、プロジェクト当初に目的を設定し、関係者と共有することでスムーズに必要なデータを得られました。また、複数のパフォーマンス指標があるなかで、多角的な視点からの分析を比較することで、重要な指標なのかについてチーム内のコンセンサスを得ました。データ分析プロジェクトを授業で経験やフレームワークが活かせたと思っています。

何よりも、インターンシップでは、アメリカという異国の環境で働く自信がつきました。アメリカ人のマネージャーやチームメンバーと関係を築くために、下記のことに集中しました。

Storytelling: ハイレベルな観点で自分のアイデアを伝えて、詳細な分析データは後で見せる。データを先に見せてしまい最後の結論まで議論が進まなかったことが多々あったので、この方法を意識することで効率よく議論を進めることができました。

Be confident:自分のアウトプットに自信を持つこと。すこしでも曖昧な表現を使ってしまいと、そこから議論が進まなくなります。

今回のチーム構成でうまくいった事例ですので、あらゆる環境でもうまくいくテクニックではないと思いますが、インターンシップの最終日に上司から「あなたはステークホルダーから尊敬されるようになった」とフィードバックをもらえたので、自信がつきました。

インターンシップを得るまでに精神的・体力的に苦労しましたが、貴重な経験が得られたので満足しています。

2023年7月30日日曜日

授業紹介(1Y Mod3, Mod4)

Class of 2024MTです。今回は1月~5月(Mod3Mod4)に私が受けた授業を紹介したいと思います。それぞれ6コマずつの計12コマ、以下が一覧となります。見づらくて申し訳ありませんが、参考になれば幸いです。

他にも魅力的な授業や活動がありますので、UNCにご興味を持たれましたらunc.mba.japan@gmail.comまでご連絡ください。

チャペルヒルは夏本番、暑い日が続いています。最近はもっぱら近所の図書館に入り浸っています。天井が高く、陽の光が差し込み、とても開放的で過ごしやすい場所です。勉強する学生の姿が目立ちますが、親子連れもいますし(子供用スペースあり)、あるいは年配の方がじっくり本を読んでいる等、図書館が市民全体の場として機能しているのかなと感じます。

2023年7月6日木曜日

STARプログラムについて

Class of 2024のMMです。今回は、私がMOD3&4を通して参加したハンズオンプログラム、Student Teams Achieving Results (STAR)を紹介します。UNCのSTARプログラムに興味がある方々のご参考になれば幸いです。


STARプログラム概要

STARはコンサルタント分野の選択科目であり、希望に基づき選定された学生が外部企業の課題に対して解決策を提案するグループコンサルプロジェクトである。プログラム全体で約20社の外部企業と提携し運営されるプログラムで、各チームに1社のクライアント企業がアサインされ、約4か月間、そのクライアントが直面する課題に取り組む。具体的には、チームで解決策の仮説を提起、市場分析を通して提起した仮説を検証し、最後にクライアントへ解決策を提案する。メンバーは応募に基づき選抜され、通常の1講義で取得できる1.5単位の3倍である4.5単位を取得できる。私が参加したチームは、私を含め5人のUNC-MBA生と2人のUNC学部生、合計7人で構成された。


参加したプロジェクトの流れ

まず、昨年11月に希望職種・希望業界と志望動機をSTAR事務局へ提出し、プロジェクトへの参加を応募する。なおこの際、STARリーダーポジションを応募する事もできる。そして12月、チームメンバー及びアサインされるチームが発表され、初回顔合わせを実施する。1月以降、STAR事務局主催のオリエンテーションに加えて、クライアント企業から提供されたビジネス詳細資料・業界概要資料を読み込み、クライアント企業とその業界の理解を深めていく。

2月以降、クライアントとの議論を通してプロジェクトの課題とやるべきタスクを明確にし、リーダーがロードマップを作成した後、6名のメンバーを2つの小チームに分割しプロジェクトを進める。1つのチームは、クライアントの内部関係者、競合他社、クライアントの顧客へのインタビューを行い、もう一つのチームは、外部のアンケート調査会社を活用し、数千人以上のステークホルダーに対して市場ニーズに関するアンケートを実施し、回答データを集計し分析する。

春休みを終えた3月下旬、インタビュー結果、アンケート結果共に出揃い考察のステージに進み、メンバー全員でどの様な解決策をクライアントに提案できるかを議論し検討する。コンサルタントファーム出身のリーダーが、前職で使用したフレームワークを用い、調査結果を定量分析・定性分析に落とし込み、クライアントへの提案にまとめていく。その後、STAR事務局とFaculty Advisorへのプレゼンテーションを通して、質問やアドバイスを受けながら提案内容とプレゼン資料を修正し、4月下旬、クライアントへの最終プレゼンテーションをもってプロジェクト終了を迎えた。

チームメンバーは、週2回の定例ミーティングに参加しプロジェクトの進捗と完了すべきタスクを確認すると共に、2週間に1度、クライアント企業の担当者を交えたステアリングコミッティにも参加する。また、チームでの懇親会やクライアントとの食事会も開催された。


STARを通しての感想

STARを終えての気づきを3つ記載したい。

1つは、コンサルプロジェクトのダイナミックさである。特に、リーダーがチームに持ち込むコンサルタントファームで培った彼の経験やスキルはとても興味深いものだった。例えば、議論の進め方・情報や問題整理の上手さ・フレームワーク等、いわゆる仕事を進める上での引き出しやツールの豊富さが印象的だった。また、外部アンケートサービスを使いステークホルダーの個々の声を集計した調査では、アンケート結果が、キャリア年数や業界経験有無に影響されず、中立な立場で定量的かつ客観的に事実を裏付け、いかにしてビジネス提案の根拠となるかを体感できた。

2つ目は、コンサルプロジェクトとビジネスオペレーションとの差である。STARは、私が未経験のコンサルプロジェクトを数か月に渡り経験できた有意義なプログラムであったが、実際の損得勘定や人間関係の中で苦しみながら仕事を進める実務オペレーションの世界とは違った。私はクライアント企業と同業界の出身だが、クライアントへの提案を考えた時、その提案は実行可能なのか、既に競合も導入しているのではないか、コスト勘定はどうかといった疑問を、私は日々の現場レベル、製造部や営業部の立場で考えてしまった。こういった自身のビジネスオペレーション目線と、チームメンバーとして戦略的な提案を綺麗にまとめていくアクションとのギャップに、私はプロジェクト最後まで葛藤し、コンサルタント業とは何かを改めて考えさせられた。

最後が、チームワークとコミュニケーションである。リーダーとチームメンバーの全員が、各々の個性と能力を十二分に発揮した素晴らしいチームであり、彼らの言動・考え方・チームワーク・プレゼンテーションスキルの全てが勉強になった。言語の壁に苦しんだものの、私を対等に扱ってくれたチームメンバーやクライアントと真剣にプロジェクトに取り組めたこのプログラムに大変感謝している。


以上       

プロジェクト最終日 チームメンバーと共に

      

2023年4月1日土曜日

GIE Healthcare at Switzerland

 こんにちは、Class of 2024のYYです。UNCの代表的な授業の一つであるGIE (Global Immersion Elective) に参加しました。ここでは、この授業を通して学んだことについて紹介し、UNCを選択肢に考えてくださる方や将来GIEを選択しようか考えている学生にとって参考になることを期待しています。


UNCでは1年間を4つのModuleに分かれていますが、そのModule間には1~2週間ほどのお休みがあります。20人ほどの学生グループが、3月または5月のMod終了後に、インダストリー別のテーマに従って海外へ訪問し、現地で行われているビジネスや文化を学ぶ海外研修です。今年はReal Estate、Healthcare、Entrepreneur、Sustainabilityのテーマがあり、私はHealthcareのプログラム(スイス)に参加しました。現地での学びを最大限にするため、予習(事前授業3時間×4回)があり、スイスのヘルスケアシステムやビジネスについて事前にリサーチしてクラスメートとディスカッションしました。また、1週間の渡航中に3都市をめぐり、合計8企業の訪問とゲストスピーカーの講演を聴講し、タイトなスケジュールでした。学んだことを3つ挙げるとすると、1.アメリカ人の考え方、2.スイスのビジネス戦略、3.スイスのヘルスケアビジネスです。下記の内容は私の主観的な考えとなりますので、UNCを代表する意見ではありません。


1.アメリカ人の考え方
カリキュラムを通して、教授と話す機会やアメリカ人の考え方に触れることができる良い機会でした。参加人数は、アメリカ人25人に対してインターナショナル生は3人という、アメリカ人が圧倒的に主体となる環境の中でした。普段のMBAのクラスではインターナショナルな学生が3割〜4割程度なので、アメリカ人からの人気に驚かされました。特にこのコースを主導する教授であるMarkus Sabaは、アメリカの製薬業界でのキャリアを積んだ方で、気さくな人柄とリーダーシップを兼ね備えており、多くの生徒から慕われています。彼は、日本やスイスを含めた4か国で働いた経験があります。ある日のディナーでの会話の中で、どこの国で働いたのが大変だったかと尋ねたところ、即答で日本と答えたことが印象に残りました(笑)。どうやら、日本独自のビジネス習慣(例:nemawashi)がアメリカ人にとっては理解が難しいようです。実際に、GlobalSmart Assessmentを使って国別のパーソナリティを比較した結果、日本とアメリカは考え方のメトリクスが対極に位置していることが明らかになりました。私の場合は、タスク志向や直接的な表現方法を好まない傾向があり、実際にチームプロジェクトの進め方にギャップを感じたことがあり、今後改善すべき点を再確認できました。

2.スイスのビジネス戦略
渡航前の授業や渡航中のゲストスピーカー(現在スイスの製薬会社のCEOであり、UNCの卒業生でもある方)との会話の中で、スイスのビジネス戦略について考える機会がありました。スイスは、2019年のGDPにおいて世界で2番目に豊かな国です。その理由を、スイスの政策の観点から考えてみました。
まず、スイスの国家戦略として、「選択と集中」という方針があげられます。スイスは、50年以上前から、観光業とライフサイエンス、金融業に集中して産業支援してきました。いずれもスイスの限られた国土の制約でも十分に付加価値を生み出すことができます。
また、もう一つの重要な戦略として、中立性があげられます。スイスはご存知の通り中立国であり、その政治的な安定性から特徴から、多くの国際機関や国際企業のヘッドクォーターがスイスに位置しています(WHOの集合写真を参照)。さらに、企業を誘致するために、企業の税金が比較的安いです(日本は30%、スイスは21%、アメリカは39%、2017年のWSJより)。実際に、あるグローバルの製薬会社が訪問した際には、スイスに拠点を置くことで税制上のメリットを享受していることを知りました。来年度は、Taxの授業を履修して、Tax Strategyの戦略を勉強しようと思っています。このように、多くの企業がスイスにヘッドクォーターを構えていることから、世界中から優秀な人材が集まっているという印象を受けました。その結果、付加価値の高いサービスや製品を提供できるようになったと考えています。MBAの卒業生はCross functionalな役職で活躍することを期待されていますので、このようなスイスのビジネスの観点を考えることで視野を広げることにつながると思いました。

3.スイスのヘルスケアビジネス
企業訪問した中で、特に印象的だった製薬メーカーのマーケティング戦略について触れたいと思います。私たちは、実際に企業訪問して話を聞くだけでなく、彼らに対してビジネス戦略を提案する必要がありました。製薬業界のマーケティング経験を持つ教授の指導を受けながら戦略を考えていきました。私たちのグループでは、スイスのある製薬業界におけるマーケティング戦略(新規の糖尿病治療薬の販売拡大戦略)を検討し、企業側に戦略を伝えました。私たちが考えた製薬業界のマーケティング戦略は、まずターゲットとするマーケットの全体像を把握し、Patient Journeyを具体的に考え、新規・既存のパートナーシップを洗い出し、医薬品の認知度を向上するためにどのチャネルを利用できるかを説明しました。マーケットの基本情報とPatient Journeyを組み合わせて考えることで、納得感があるアイデアを提案できました。具体的には、スイスにはハイキングが好きな人が多く、例えばハイキングが好きな患者が糖尿病にかかるとハイキングができなくなってしまうことがあります。それを未然に防ぐため、国立公園の管理団体と協力して糖尿病の認知度を上げようというアイデアが提案されました。企業側からはフィードバックをいただき、具体的な施策に落とし込めることに対して高い評価をいただいた、一方でファイナンスの観点から(マーケティング費用と投資効果について)考える必要があると指摘がありました。提案策を包括的に考えることの必要性と、特にファイナンスの観点で抜けがあったことに気づきが得たので、マーケティング戦略について一つスキルが上がった良い経験になりました。