2022年8月8日月曜日

サマーインターンシップ(スタートアップ・ファミリービジネス支援団体)

こんにちは。Class of 2023のTIです。

今回は夏のインターンについて書こうと思います。別途TMさんが書いてくれたように、現状UNCMBAでは夏休みの間のインターンシップが卒業要件の一つとなっています。当方は元々金融機関からの社費派遣なのですが、当該要件を満たすこと、夏休みにおける「Hands-on的な学び」を得たいことの2点より、インターンシップ探しを始めました。当方の場合、①転職を目的としていないこと、②自身のFinanceの経験を活かしながらもより顧客の事業サイドに近いところで経営を見てみたいこと、③MBAで学んだマーケティングやVC関連の知識を応用したいこと、④家族帯同であり、子供の学校の観点から極力Chapel Hillに留まりたいことを重視していました。色々面接を受けた結果、再生可能エネルギー会社(Strategy)等からもオファーを頂きましたが、NCGrowthというUNCに隣設しているスタートアップ・ファミリービジネス支援団体でインターンをすることに決めました。

当該インターン先では基本的にコンサルタント的な役割を与えられ、学生(アナリスト)のバックグランド・希望を踏まえ様々なプロジェクトがアサインされます。上司と週1回の進捗確認のMTG、顧客と週1回のMTG(基本は上司抜き)以外は比較的好きなようにリサーチができます。また、私の場合は以下の4つのプロジェクトがアサインされました(守秘があり、細かく書けない点ご容赦ください)。

①牧場におけるAgritourism案件: NC内にあるそれなりに地元では知名度がある牧場で、今後よりファミリー層や学校の遠足等を呼び込む上でのアドバイスが欲しいというもの。具体的には、①現在稼働を休止する予定の豚小屋(業者に販売する豚を飼育する場所)とその隣にあるラグーンを改装し、多目的センターを立てること、②そのセンターで新たなアクティビティ(例:ウェディング・コーポレートイベント・インドアプレイグラウンド)を行うことの2点につき定性的・定量的に分析し、顧客へ意見を申し上げるというものです。他の州のかなり有名な牧場のオーナー等に自らDMでアポを取りインタビューを行ったり、Dataプラットフォームを用いてマーケットを定量的に分析したり、小屋の改装やアクティビティ毎のスタートアップ費用を概算し、現在の財務諸表に照らして実現性があるのかといった分析を行いました。また、豚小屋に隣接するラグーン(汚水を貯蔵する池)はNC内で環境問題になっており、USDA(アメリカ農務省)へインタビューを行い、Grant(費用補填)がどういった条件で出るのか、閉鎖プロセスにおける留意点などをヒアリングも行い、面白い経験が詰めました。

②Business Incubator案件: NCのとある地方都市にある公共団体がイベントホールを有しており、現状稼働率が低下している状況(競争環境悪化が主因)。これをBusiness Incubator(起業家にコワーキングスペースを貸し出すモデル)へ転換した場合のFeasibilityを分析するというもの。具体的には①各種データプラットフォームやNCGrowthと接点のある不動産業者等へアクセスし、不動産市況に関するデータや統計を集めること、②顧客とMTGで進捗に応じて週次のQAを行うこと、③係る公的な案件に対してInvestorのAppetiteがどれほどあるのか需要調査を行うこと、④上記踏まえ、Financial modelをつくり込み、今後のTo doの優先順位やFeasibilityを高めるためにはどうすればよいかを顧客へ提案するもの。

③果樹園案件: とあるNCの果樹園が事業拡大の観点から事業計画をアップデートし、投資家へアプローチしていきたい意向(他のアナリストとの共同案件)。これをサポートする観点から、事業計画を精査し、より説得力のある計画を作るというもの。これについては個人的には相当気合が入っていたのですが、顧客の資料提出状況が芳しくなく、あえなく秋以降へクロージングを先延ばしにすることになりました。

④果物・野菜案件: NCのファミリービジネスで、果物や野菜をカットする機械を販売している企業の案件。とある投資を行う場合、どれほど機械の販売が伸び、売上に寄与するかを社内で決裁を取るに際してNCGrowthに対してFinancial Analysisをお願いしたいというもの。これについても顧客とのMTGを複数回行いましたが、夏休みの途中であえなくクロージングを延期することになりました。

以下、少し五月雨式ですが良かった点・イマイチだった点を思うまま列挙したいと思います。

良かった点:

  • 授業では学べない「Client Management」をこれでもかというくらい学んだ(特にお客様がローカル且つファミリービジネスでありこちらに対してdemandingである為、「最終アウトプットはこのくらいの精度であれば大丈夫」といったような自身の経験が全く通用しませんでした)
  • 夏休み中もそれなりに緊張感をもって「働く」経験を積むことができた
  • 案件の種別によっては、外部の企業や投資家へ自由にアクセスでき、学生の立場を利用してインタビューができる
  • 人手が足りず、リソースが足りない企業の実態(これは日本・米国同様と思いますが)をよく知ることができた
  • アウトプットやプレゼンにおいて、「わかりやすく説明する」大切さを改めて学んだ(MBAの授業で飛び交う耳障りの良いビジネス用語は全く理解してもらえません)
  • 過去のバックグランドでは接点が無かった業界について知ることができた
  • UNC以外のMBAや大学院生(NC State, Duke等)と接点が持てる
  • 上司・顧客との面談以外、業務が回っている限り比較的自由に時間を使える

イマイチだった点:

  • そもそもデータが満足に揃っていない顧客が多い為、MBAの授業で学んだマーケティングソフトを用いた美しい分析を披露する余地が皆無だった(まさにリアルビジネス)
  • (人によると思いますし、案件ごとで上司は変わります)もう少し自身のアウトプットに対して、上司からガツガツ意見を頂きたかった
  • 良くも悪くもアナリストに全て委ねられているので、学生の性格やストイック度合いで充実感がかなり変わると思われる(私は結構気合を入れて臨んでいたので、一部肩透かし間のあったMTGもありました)
  • (上記に関連していますが)全体的にあまりOrganizeされた運営ではない
  • また、私費学生の場合は就職活動へ直結しないこともデメリットとして挙げられると思います。

また、NCGrowthはUNCの学校内で働くという整理なので、事前にCPT(就業が許可されていないF1ビザのもと、インターン等を行うに際して必要なもの)等面倒な手続きが無い点も◎であり、これによって学期中のインターン等も柔軟に対応できるといったメリットがあります(詳細割愛しますが、気になる方は別途ご連絡ください)。また、NCGrowthは一度採用されるとFall/Springセメスターも希望に応じてプロジェクトアサインを受けることができ、継続的に「hands-on」の機会を得ることができます。

少しだらだら書いてしまいましたが、大企業出身・且つファイナンスバックグランドの私にとっては貴重な経験ができたと思います。少しでも皆様の参考になればと思います。今後、アプリケーションプロセスなども始まっていくと思いますので、受験生の皆様は不明点あればいつでもお申し付けください。


以上

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