2009年1月24日土曜日

Marketing

class of 2010のMskyです。

MOD3が始まってはや2週間ですが、MOD2のコア科目「Marketing」について。

Marketingでは、Kotlerの名著“Marketing Management”を教科書に、マーケティング戦略の基礎となる、3C (company, competitor, customer)、STP (segmentation, targeting, positioning)、4P (product, price, place, promotion)の考え方を、ケース分析を交えて学びました。
実企業の製品・サービスの事例をふんだんに取り入れた授業は学生の参加も活発でまるでショーのようでした。ただ、この授業もまた予習や課題に膨大な労力が必要で、特に節目で課されるケースレポートの提出日は徹夜の連続でした。

私が最も感銘を受けたのは、C. K. Prahaladの提唱する途上国の貧困層(BOP :Bottom of Pyramid)をビジネスの対象とする考え。BOPは「①カネを持っていない、②市場が小さく捉えにくい、③テクノロジーとは無縁」という見方が支配的ですが、むしろ、「①相対的に高い支出を強いられており(=総体として購買力はある)、②都市の人口の半数近くは貧困層であり(=彼らを無視したビジネスはあり得ない)、③携帯端末などの普及率は高い(=テクノロジーに貪欲)」など、sustainable profitable growthにとってBOPは期待大という見方をしています。BOPビジネスに革新を起こす12原則(商品・サービスのカスタマイズ、スケール効果の享受、環境負荷の低減、プロセス革新、啓発活動、等)やその例(貧困層をグループ化して貸付けをするmicro financing、コスト$30で義足を作るJaipur Foot、眼科外科手術を“McDonald並”にマニュアル化したAravind Eye Hospital、必要な量だけ個装販売するmicro-packaging、等)を学び、目から鱗が落ちる思いでした。
“The Fortune at the Bottom of the Pyramid”, C. K. Prahalad(和訳)

授業では取り上げられませんでしたが、Tata自動車のNanoについて。28万円(10万ルピー)という販売価格で2008年初に話題になりましたが、仕様を落とし利益も度外視した価格も、日本とインドの世帯年間所得差(中央値*で460万円vs.24万円(9万ルピー)と20倍近い開き)のため、インドの平均的*世帯にとっては500万円超に感じるはずです。仮に、富裕層・中間層~貧困層の間の需要をある程度取り込めたとしても、交通事故・渋滞、大気汚染、燃料の高騰・枯渇など、環境面で深刻な問題を引き起こすのは明らか。Ratan Tata会長の“People's Car”実現への熱い思いには共感するものの、それほど“革新的”とは言えないかもしれません。

* この場合、平均値ではなく中央値を使うのが適切と考えた(前者は家計総体の平均、後者は代表的な家計の抽出)。


Sridhar Balasubramanian教授(通称“Dr. B”)はインド出身のバイタリティあふれるfacultyです。いかりや長介氏を思わせる“Hi, folks. Good morning! … again, GOOD MORNING!!”という授業冒頭の挨拶は、インドのSales manager時代の癖かもしれません。
Sridhar Balasubramanian氏 Faculty Directory

Posted by Msky

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