2023年4月1日土曜日

GIE Healthcare at Switzerland

 こんにちは、Class of 2024のYYです。UNCの代表的な授業の一つであるGIE (Global Immersion Elective) に参加しました。ここでは、この授業を通して学んだことについて紹介し、UNCを選択肢に考えてくださる方や将来GIEを選択しようか考えている学生にとって参考になることを期待しています。


UNCでは1年間を4つのModuleに分かれていますが、そのModule間には1~2週間ほどのお休みがあります。20人ほどの学生グループが、3月または5月のMod終了後に、インダストリー別のテーマに従って海外へ訪問し、現地で行われているビジネスや文化を学ぶ海外研修です。今年はReal Estate、Healthcare、Entrepreneur、Sustainabilityのテーマがあり、私はHealthcareのプログラム(スイス)に参加しました。現地での学びを最大限にするため、予習(事前授業3時間×4回)があり、スイスのヘルスケアシステムやビジネスについて事前にリサーチしてクラスメートとディスカッションしました。また、1週間の渡航中に3都市をめぐり、合計8企業の訪問とゲストスピーカーの講演を聴講し、タイトなスケジュールでした。学んだことを3つ挙げるとすると、1.アメリカ人の考え方、2.スイスのビジネス戦略、3.スイスのヘルスケアビジネスです。下記の内容は私の主観的な考えとなりますので、UNCを代表する意見ではありません。


1.アメリカ人の考え方
カリキュラムを通して、教授と話す機会やアメリカ人の考え方に触れることができる良い機会でした。参加人数は、アメリカ人25人に対してインターナショナル生は3人という、アメリカ人が圧倒的に主体となる環境の中でした。普段のMBAのクラスではインターナショナルな学生が3割〜4割程度なので、アメリカ人からの人気に驚かされました。特にこのコースを主導する教授であるMarkus Sabaは、アメリカの製薬業界でのキャリアを積んだ方で、気さくな人柄とリーダーシップを兼ね備えており、多くの生徒から慕われています。彼は、日本やスイスを含めた4か国で働いた経験があります。ある日のディナーでの会話の中で、どこの国で働いたのが大変だったかと尋ねたところ、即答で日本と答えたことが印象に残りました(笑)。どうやら、日本独自のビジネス習慣(例:nemawashi)がアメリカ人にとっては理解が難しいようです。実際に、GlobalSmart Assessmentを使って国別のパーソナリティを比較した結果、日本とアメリカは考え方のメトリクスが対極に位置していることが明らかになりました。私の場合は、タスク志向や直接的な表現方法を好まない傾向があり、実際にチームプロジェクトの進め方にギャップを感じたことがあり、今後改善すべき点を再確認できました。

2.スイスのビジネス戦略
渡航前の授業や渡航中のゲストスピーカー(現在スイスの製薬会社のCEOであり、UNCの卒業生でもある方)との会話の中で、スイスのビジネス戦略について考える機会がありました。スイスは、2019年のGDPにおいて世界で2番目に豊かな国です。その理由を、スイスの政策の観点から考えてみました。
まず、スイスの国家戦略として、「選択と集中」という方針があげられます。スイスは、50年以上前から、観光業とライフサイエンス、金融業に集中して産業支援してきました。いずれもスイスの限られた国土の制約でも十分に付加価値を生み出すことができます。
また、もう一つの重要な戦略として、中立性があげられます。スイスはご存知の通り中立国であり、その政治的な安定性から特徴から、多くの国際機関や国際企業のヘッドクォーターがスイスに位置しています(WHOの集合写真を参照)。さらに、企業を誘致するために、企業の税金が比較的安いです(日本は30%、スイスは21%、アメリカは39%、2017年のWSJより)。実際に、あるグローバルの製薬会社が訪問した際には、スイスに拠点を置くことで税制上のメリットを享受していることを知りました。来年度は、Taxの授業を履修して、Tax Strategyの戦略を勉強しようと思っています。このように、多くの企業がスイスにヘッドクォーターを構えていることから、世界中から優秀な人材が集まっているという印象を受けました。その結果、付加価値の高いサービスや製品を提供できるようになったと考えています。MBAの卒業生はCross functionalな役職で活躍することを期待されていますので、このようなスイスのビジネスの観点を考えることで視野を広げることにつながると思いました。

3.スイスのヘルスケアビジネス
企業訪問した中で、特に印象的だった製薬メーカーのマーケティング戦略について触れたいと思います。私たちは、実際に企業訪問して話を聞くだけでなく、彼らに対してビジネス戦略を提案する必要がありました。製薬業界のマーケティング経験を持つ教授の指導を受けながら戦略を考えていきました。私たちのグループでは、スイスのある製薬業界におけるマーケティング戦略(新規の糖尿病治療薬の販売拡大戦略)を検討し、企業側に戦略を伝えました。私たちが考えた製薬業界のマーケティング戦略は、まずターゲットとするマーケットの全体像を把握し、Patient Journeyを具体的に考え、新規・既存のパートナーシップを洗い出し、医薬品の認知度を向上するためにどのチャネルを利用できるかを説明しました。マーケットの基本情報とPatient Journeyを組み合わせて考えることで、納得感があるアイデアを提案できました。具体的には、スイスにはハイキングが好きな人が多く、例えばハイキングが好きな患者が糖尿病にかかるとハイキングができなくなってしまうことがあります。それを未然に防ぐため、国立公園の管理団体と協力して糖尿病の認知度を上げようというアイデアが提案されました。企業側からはフィードバックをいただき、具体的な施策に落とし込めることに対して高い評価をいただいた、一方でファイナンスの観点から(マーケティング費用と投資効果について)考える必要があると指摘がありました。提案策を包括的に考えることの必要性と、特にファイナンスの観点で抜けがあったことに気づきが得たので、マーケティング戦略について一つスキルが上がった良い経験になりました。