2023年10月28日土曜日

GIE Strategy and General Management in Zambia and Zimbabwe

Class of 2024のMMです。今回は、私がMOD4に参加したハンズオンプログラム、Global Immersion Electiveを紹介します。UNCの海外プログラムに興味がある方々のご参考になれば幸いです。


  GIEプログラム概要

59日~16日の1週間、アフリカのザンビアとジンバブエを訪問し、現地の民族性や文化、商習慣を現地で体感しながら、現地企業を訪問しStrategy and general Managementをテーマに彼らのビジネスを学習するプログラムである。また、現地訪問に加えて、渡航前後のクラスに参加し事前及び事後学習が要求される。

 

  渡航前クラス

渡航前クラスは全部で4回実施される。初回クラスでは、ザンビア・ジンバブエへの渡航に際しての衛生面・安全面・治安の注意事項と渡航に関する予防接種の説明、2か国の歴史・文化・人口統計の紹介を受ける。また、2018年のジンバブエ大統領選をドキュメンタリーとしてまとめた映画「The president」を事前視聴し、クラスで感想を述べ意見交換を行う。ジンバブエは長く独裁政権が続き今も公正かつ透明な選挙が行われていない歴史を持つ。公衆衛生や経済発展を含めて、米国の豊かさと比較して意見する同級生たちが印象的であった。2回目のクラスでは、異文化経験を通して自身が成長させたい文化的多面性について自己分析する研修、3回目のクラスでは2か国の歴史・公衆衛生・経済・文化・隣国関係・政治体制を、4回目のクラスでは2か国にて訪問する企業・NGO・ゲストスピーカーについて、各学生グループが自ら調査しクラスで説明する。


なお、ザンビア・ジンバブエ現地ではゲストスピーカー含め13企業を訪問し、現地の商習慣・教育体制・医療体制・自然環境を体験学習した。ハイライトとなる企業と現場を3つ挙げたい。


・Zambeef

Zambeefは酪農からデイリー製品の製造販売、鶏・牛・豚などの畜産業に加えて、加工肉を使った小売業まで営んでいるザンビアのコングロマリット型企業である。訪問した拠点では、酪農オペレーションに加えて小麦粉製造場と牛乳充填工場を見学する事ができた。製造業出身の自身にとって、安全管理・衛生管理・オペレーションの違いや共通点を自身の目で認識できた事が収穫だった。例えば、Zambeefはザンビアのトップ食品メーカーであるものの、工場内入場時の防虫対策や牛乳生産ラインでの内容物漏れなどが散見され、日本や他の先進国の食品工場の衛生管理基準には及ばない。インフラが未発達で衛生面より食品自体の供給に価値があるザンビアでは、衛生品質に対する消費者の許容度・期待値が先進国とは違うのだろう。消費者の特性や期待値が違えば、供給する側の管理項目や品質レベルが異なる点を目の当たりにし、アフリカビジネスの需給事情を考えさせられた貴重な訪問であった。


・African Touch

地元の木材を使いオーダーメードの手作り家具を製造しており、ジンバブエと隣国のみならず欧米諸国にも輸出販売している成長企業である。また、米国のSNSインフルエンサーにAfrican Touchの商品を偶然拡散してもらった事を機に、SNSを用いたデジタルマーケティングに力を入れ、グローバル市場でプレゼンスを発揮している。渡航前はジンバブエの経済・ビジネスを過小評価していたが、地域特性と地元の原材料を活かしてグローバル展開するAfrican Touchビジネスの力強さに感銘した。


・教育・医療の現場:

教育・医療の現場で活躍するNGO関係者とその現場力が印象的だった。現地の教育を理解する為に、私たちはジンバブエの教育環境向上に尽力しているChildren in the Wilderness (Mizpah School)を訪問した。4歳から10歳までの児童を対象にした学校では、平均5kmの道のりを歩いて通う子供たちが青空の下で楽しく笑顔で学び、廃れた教室でぼろぼろのノートに丁寧に英語と数字を書き勉強する姿を目の当たりにした。医療分野では、野生環境下での救急医療を行うDr. Jeans Michael (ACE Air and Ambulance)から、十分な医療機器がない中での救命医療の実態を聞く。一見、先進国並みの医療機器の供給が喫緊の課題と思われがちだが、高度な医療機器や物資がない中で救急救命医療を実施する人材の育成・人材の持つスキル・救急医療のチームワークの大切さを熱く語ってくれた事が忘れられない。



総じて、ザンビア・ジンバブエの商習慣は、日本と似ている点が多い。タスク傾向よりチームで調和しながら仕事を進め、米国とは対照的に年功序列の文化が残っている。両国共に、人はとても友好的かつオープンであるが、経済発展途上の為、お金に対する貪欲さが異常に高い。観光地のレストラン・ホテル・公共交通では米国ドル紙幣が流通紙幣として使用できるが、ホテルスタッフやタクシードライバーはUS$1でも多くチップを貰おうと必死である。


最後に、24人の同級生と1週間を共にした旅は、期待以上に米国MBA生と交流できた瞬間でもあった。これも学生規模が小さいスモールスクールの良さだろう。現地での車中移動、現地体験イベント、夜の食事を通して、通学だけでは深められない絆や交流を持つことができた。アフリカ2か国の政治・経済・教育・医療体制を含めて包括的に現地ビジネスを理解し、商習慣に触れ、民族性を感じ、同級生と貴重な時間を過ごせた充実したプログラムである。

                                   以上