Class of 2009のJ太郎です。
先日UNCビジネススクールにノーベル平和賞(2006年度)を受賞したムハマド・ユヌス氏が来校されたのでスピーチを聞きに行きました。
先日UNCビジネススクールにノーベル平和賞(2006年度)を受賞したムハマド・ユヌス氏が来校されたのでスピーチを聞きに行きました。
事前に予約していたにもかかわらず開始15分前には講堂が満席になったため、別室でのビデオ聴講に回されました(怒)。
ユヌス氏はアメリカで博士号を取得後、バングラデシュの大学で経済学を教えていましたが、経済学が貧困層の問題に答えを出せないことに疑問を感じ、マイクロクレジットという仕組みを確立しました。
マイクロクレジットとは、『失業者や十分な資金のない起業家、または貧困状態にあり融資可能でない(商業銀行からの融資を受けられない)人々を対象とする非常に小額の融資(ローン、クレジット)である。』(Wikipediaより引用) 、です。
例えば、糸を買って布を織る職人の多くは、
・商人から糸を買い、
・できた布を商人に売り、
・(銀行は貸してくれないので)機織り機を買うために同じ商人から借金をする、
という商人に搾取される構造から抜け出せませんでした。
ユヌス氏のグラミン銀行はこのような層の家に銀行の方から出向いて融資をしていき、ビジネスとしながらも、彼らの貧困からの脱出に一役買ったのです。(『仕組みを作って待っているのではなく出向くのが大事』とのこと。初期は家を外から見て訪問先を選別していたそうです。)
ユヌス氏は、マイクロクレジットを『Social Business』と定義しながら下記のようなことを語っていました。
・「通常のBusinessは『どれだけ儲けたか』の金額で評価される。しかし、Social Businessの尺度は利益額ではない。『どれだけの人の役に立ったか』である。」
・「金融システムの外にいる人たちは融資を受けられない。しかし、貧困はその人たちのせいで貧しいのではない(=システムのせい)ので、新規貸出先の経歴は問題にしない。」
・このビジネスはCharityではない。Charityは資金を困っている人に渡してしまうとまたお金を集めなければならないが、マイクロクレジットは返済してもらったお金を別の人に貸し出すことができ、より多くの人にチャンスを提供できる。
・よって、単独で採算が取れない支店は例外なく撤退する。
ユヌス氏は「出発点は目の前の困っている人にどのようなソリューションが提供できるか」、そして「あとは行動すること」と語っていました。
私がビジネススクールで学んできたことの中心は『利益や株主価値の最大化』がテーマでしたが、UNCのエッジのひとつであるSustainable Businessのコースは新たな発想の軸を与えてくれました。いろいろな学びがありましたが、『あくまで慈善事業ではなくビジネス』として仕組みを作るところが大きなポイントだと思っていましたので、ユヌス氏の講演は私には非常に説得力があるものでした。
私はもうすぐ卒業しビジネスの世界に戻りますが、私も既存のシステム・マーケットの埒外にあるニーズもうまく掬って行く仕事ができればいいな、と思いました。
(写真は講演後のBook Signing会にて。)
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