2012年12月1日土曜日

感銘を受けたGlobal Operation Strategyの授業

Class of 2013のTakuです。

先日トヨタに代表される日本の製造業の生産方式(以下Lean)のサービス業への応用について授業で学習しました。実体験と照らし合わせて大きな気づきがありましたので、そのことについてお話ししようと思います。

1.Global Operation Strategyのクラスについて

Staats教授 のGlobal Operation Strategyはケースベースで企業のオペレーション戦略を学ぶ人気のクラスです。Leanのサービス業への応用はStaats教授の専門分野であり、教授が書いた論文とケースを元に「かんばん」「自働化」等Leanの主要項目をインドのIT企業がどのように取り込み、生産性を向上させたか、ディスカッションベースでクラスは進行されていきました。発音しにくくそうに「カンバン」と言いながら意見を述べるクラスメイト達におかしさを覚えながらも議論に参加。クラスの後半では、ゲストスピーカーとしてUNCホスピタルのオペレーション責任者が登場し、ディスカッションで挙げられた内容をUNCホスピタルではどのように実現しているか、現場の話を聴くことができました。

尊敬する教授の専門分野に触れることが出来たこと、活発なディスカッション、臨場感ある現場の事例に加えて私が感動したのはUNCホスピタルで実際に自分がLeanを経験したからでした。

2. UNCホスピタルでの経験について

この夏、長男が誕生したのですが、生後1週間で大病を患い緊急病棟に連れて行くことになりました。慌てふためく私と妻を優しくなだめながら小児科の先生は聴診器を当てるとすぐに異常に気付いたのか、テキパキと看護婦さん達に指示出していきます。その後驚くほどのスピードで、お医者さんや看護婦さん達が集まり、息子に様々な計器が付けられ、血液検査、尿検査、レントゲンと次々に処置が施されました。難しい病気であったにもかかわらず、病院に到着後1時間もしないうちに原因が判明、その後専門の先生がすぐに到着し、緊急処置が施され、そのままICUへ。子供の体力の回復を待って手術が行われ、10日後に無事に退院することができました。

全く無駄のない作業に加えて私が感銘を覚えたのは、病室や廊下で待機している私たち夫婦に、お医者さんが忙しい中わざわざ時間をさいて「現在考えらえる原因は××です。そのために○○の検査を行います。もし××であれば、ほぼ病気は治ります。何かご不明な点はありますか?あればいつでも連絡下さい」、「××の症状は見られませんでした、現在レントゲンを撮ってさらに原因を解明しています。もう少しお待ちください。質問があればいつでもいいので聞いて下さいね」、「我々が最大限の努力をしていますのできっと息子さんは大丈夫です。何か今、私にできることがありますか?お水をもって来させましょう」「原因は実は○○でした。今到着したのは専門の先生です。これから××の応急処置を行います。何かご不明な点があればいつでも言って下さいね。大丈夫ですよ。」等、逐一、説明や励ましの言葉をくれたことでした。

3.ホスピタビリティーとLeanの両立について

徹底的に無駄を排除するLeanと私がUNCホスピタルで体験した患者や家族の心のケアを行うホスピタビリティーは一見、相反するようにも見えます。そこで先にお話ししたゲストスピーカーに質問をしました。「UNCは患者想いの病院として1位[1]に選ばれるほど患者の心のケアに時間と労力を割いていますが、無駄を徹底的に排除して効率を上げるLeanと両立するのは難しいような気がします。どのような基準で行っているのですか?」ゲストスピーカーの答えは単純で当たり前の内容に思われるかもしれませんが、実践に基づいた重みがありました。

「まずは患者の立場に立つこと、患者の立場に立てば、何が大切で何が大切でないのかを見極めることができる。私たちはその結果大切でない箇所をみんなで徹底的に議論して効率を上げることに成功しました。あなたの質問で言うと患者の心のケアは患者が最も必要としていることであり、しっかりと我々が守っていくものだと考えています。」

ここ米国では業界の垣根なしに日本が誇る製造技術がサービス向上や生産性向上に応用されている。驚きとともに感銘を受けた瞬間でした。

[1] http://news.unchealthcare.org/empnews/2011/nov2/unc-ranks-1-among-uhc-hospitals-in-patient-centeredness-a-message-from-gary-park/

0 件のコメント: