2012年12月5日水曜日

Finance理論とその実践

Class of 2013のSoです。MBAではFinanceを中心に勉強してきたが、ついにこれまで学んだFinance理論・技術を実践に移す日が来た。そう、自分の資産運用(確定拠出年金の運用)に理論とテクニックを応用するのである。MBAはトップマネジメントになるためのスキルだけを学ぶ場ではない。人生の全体像を設計する場でもあり、資産運用はその中で重要な要素の一つである(仮にトップマネジメントとして成功すれば、資産運用の重要性はより大きくなるわけだし・・・)。また、MBAでFinanceを学んだのに、自分の資産運用はおざなりというのも寂しい。

※以下で述べる投資方針は読者に特定の商品や投資戦略を推奨するものではなく、あくまで筆者の個人的見解である
※また、理論とテクニックに加え、個人の嗜好とエゴが多分に含まれている

確定拠出年金の運用方針を見直したのは数年ぶりである。

まず株式の比率を50%に下げ、その内訳を外国株式35%、新興国株式15%とした。株式のアロケーションを下げた理由は、金融市場の混乱が続く環境下では(今後も長期にわたり金融危機が頻発すると想定)、株高は期待できず、質の高い債券の安定性が勝ると考えるためである。理論的には、中高年に比べリスクが取りやすい若年層は、株式のリスクを取りやすい(若年層は長期で資産を運用できるため、短期の変動にそれほど過敏にならなくてもよい)。しかし、最近の研究では金融危機を含めて考えれば、債券のリターンは株式のリターンを上回ると言われており、その研究をAppreciateすることにした。思い切って、日本株はほぼゼロとした。理論に従い、ホームカントリーバイアス(自国に投資が偏重する傾向)を取り除くことにした。外国株と重複する形で新興国株式を増やしたのは、新興国企業の成長余地が相対的に大きいためである。

次に、全資産の43%を債券に配分した。日本債券は3%とし、外国債20%、新興国債20%とした。債券に偏重することでインフレが継続した際に資産価値が低下することは恐ろしい。しかし、僕はまだ長期に渡り給与収入があり、その給与収入は物価に連動するため、インフレは給与収入で対応すればいい。新興国債20%は危険だろうか。そうは思えない。財政危機にあるのはむしろ先進国で、リスクに対し利回りが高い新興国の債券は相対的に魅力が高い。いざというときは、IMFなどが「最後の貸し手」として現れると期待しよう。

残った7%はグローバルに投資する不動産投資信託に配分した。不動産投資市場に関与してきた人間として、ちょっとした哀愁を込めた7%で、ここだけちょっと根拠が弱い・・・ただし、先進的な年金や保険はオルタナティブ投資のアロケーションを増やしており、不動産に7%配分することはそれほど不思議なことではない。プライベートエクイティやヘッジファンドという選択肢はなかったために、オルタナティブは不動産のみになった。少し残念。

いずれの投資においてもアクティブ運用ではなく、パッシブ運用を選択した。アクティブとはファンドマネジャーがリサーチを行い良い銘柄を選びぬいて投資するスタイルで、パッシブとは日経平均やS&P500など代表的インデックスに連動する投資スタイルである。前者は人よりも高いリターンを目指すもので、後者は市場平均のリターンを目指すものである。意外にも思えるが、Finance分野の長いリサーチにおいては、アクティブ運用はパッシブ運用に劣るという結論が下されている。アクティブ運用は、良い銘柄を選ぶためのリサーチにコストがかかり、パッシブ運用に勝てないのである。「良い銘柄を探す作業は無駄」という結論はやや悲しいが、これは揺るがない事実である。

さて、この資産運用方針、吉と出るか凶と出るか。

0 件のコメント: