2017年2月13日月曜日

優勝!Monsanto Olin Case Competition 2017

Class of 2018のKazuheiです。2017年2月3日、ミズーリ州セントルイスのWashington University in St. Louisで行われましたケースコンペ:Monsanto Olin Case Competition (MOCC)にて、私たちUNC Kenan-Flaglerの日本人チーム(Team Rameses Jr.)が見事優勝することが出来ましたので、ご報告します。

今回のケースコンペは、遺伝子組み換えや農薬で有名なMonsanto社のサプライチェーン戦略に関するものでした。事前に与えられたケースをもとに、同社の新商品投入計画・既存商品の撤退計画を議論し、最終的にエグゼクティブ層の前で15分間のプレゼンテーションを行いました。12月から開始して、まる2ヶ月にわたる長期のプロジェクトでしたが、苦労が結実したことを本当にうれしく思っています。

今回のチームメンバーは、Class of 2017のKiyo(リーダー)、Hisato、Masa、そしてClass of 2018からは私Kazuheiの4人で構成しました。徹底的に勝ちにこだわりたいとのコンセプトのもと、細やかな議論を尽くせるようにあえて日本人のみでチームを組みました。結果的にその作戦は奏功し、言語の壁を乗り越えて、最高の提案を行うことが出来ました。

【きっかけはプログラムオフィス】
Kenan-Flaglerでは、ケースコンペに関する情報がプログラムオフィスから不定期的に展開されます。今回は、そのお知らせを見てKiyoがメンバーを募集してくれました。オペレーション・サプライチェーンマネジメントの知識はほとんど無かった私ですが、どちらかというとMonsanto社に興味を持って、またケースコンペというものを体験してみたかったので、チームに参加させて頂くことになりました。

【難解なケース】
ケースコンペでは通常、ケースと呼ばれる10数ページのドキュメントを読んだうえで議論を組み立てていきます。今回もMOCC側から、Monsanto社の概要や今回の課題について述べられたケースが事前配布されました。議論の目線を合わせるためにも、前もってケースを各自で読み込むことが重要なのですが、現実のビジネス同様、必ずしも必要な情報が全て記載されているとは限りません。今回のケースにおいても、読み込んでいくうちに数多くの疑問に行き当たり、また各人で解釈に差異が出ることも多々あり、チームメンバーで徹底的に議論を尽くしました。その上で、足りない情報についてはMOCC側に確認したり、我々のほうで納得のいくAssumptionを置くなどして対処しました。

【時には深夜まで・・・】
今回はCoreのOperations、ElectiveのOperations Management Models等で学んだ知識をフル動員して、かなり複雑なモデリングを行うことになりました。Kiyo主導のもと、各メンバーが議論をしながら、Newsvendor Model、Monte Carlo Simulationなどを次々とモデルに組み込んでいきました。時には深夜の2時までスタディルームで議論をすることもありました。知識が乏しかった私ですが、気づいたところがあればとにかく発言をするということを心がけました。

【1st Round突破】
MOCCはRoundが分かれており、1st Roundを勝ち抜いたチームのみがFinalに移れるようになっています。1st Roundでは2ページのExecutive Summary、そして5分のビデオを投稿しました。ここで作成した結論をもとにFinalでプレゼンテーションを行うので、モデルに変更を加えられる機会は事実上1st Roundまでとなっています。この時期(12月中旬)までの間は、モデリングと資料作成が並行して走っている状態でしたので、本当に忙しかったです。ビデオプレゼンでは、発音など言語の部分ではどうしてもネイティブには劣りますが、日本人会で作ったハッピを着るなどして、その分の独自の工夫を凝らすことを意識しました。それら苦労・工夫のかいあって、12月末に1st Round突破のお知らせを受け取ることができました。

【Finalはセントルイス】
セントルイスのOlin Business Schoolで行われたFinal Roundでは、プレゼンテーションのみがdeliverableであり、既に組み立てたロジックをもとにスライド等のブラッシュアップが課題でした。数えきれないほどクラスルームでのプレゼン練習を繰り返し、スライドの一字一句の表現にこだわって、またKenan-FlaglerのBusiness Communication Centerでのフィードバックをもらうなどして、最終的にはもうやれることは全てやった!と胸を張って言えるレベルまで達していました。セントルイス現地でも個室が与えられており、我々の順番がまわってくる10分前まで、徹底的にプレゼンの練習とQ&A想定問答の策定を行いました。私はそれまで、プレゼンの練習の場では噛んでしまったり、セリフを忘れてしまうことが多かったのですが、本番では自分でも驚くほどの大声で完璧に近いプレゼンテーションが出来たと感じました。結果を待つまでの間、ここまでやり遂げたなら駄目でも悔いはない!という思いと、そして1位に違いない!という確信を抱いたことをよく覚えています。

【優勝!その後】
結果は見事優勝。抱えきれないほど大きな小切手を抱え、満面の笑みで写真に収まることができました。Chapel Hillに戻ってからも、ケースコンペ優勝は予想していたよりも大きな話題になっていて、すれ違うたびにCongrats!と声をかけてもらえたことが驚きでした。ビジネススクールにおいてケースコンペは本当に大きな意味を持ち、そこでの優勝は最大の収穫であることを実感した瞬間でした。私とMasaはセントルイス滞在を2日間延長し、特大のリブステーキやカジノ、そしてOlin日本人会の皆様との交流を堪能してからChapel Hillに凱旋帰宅しました。

MOCCでは、勝てたという結果も伴い、2ヶ月にわたって本当にいい経験をさせていただいたと思っています。ここまで私なりの感想を書いてみましたので、以下では一緒に戦ってくださったチームメンバーの皆様よりコメントを書いてもらいます。

Kiyo:この2か月間は、本当にいつもコンペのことを考えていました。優勝を目指して本気になって戦ってきた仲間たちと、本番前の控え室で「Go! Heels!!」と大声で掛け声をかけたときは、チームが一つになっているのを心から感じて奮い立ちました。こんな青春を味わわせてくれたメンバーと、僕たちのコンペ参加を陰ながら支えてくれた各家族と友人のみんなに改めてありがとうと伝えたいです。
今回、優勝できた理由としては、メンバー個々人の知識、熱意、協調性によるところがやはり最も大きかったですが、加えて一つ強調させてもらうと、Class of 2016の先輩たちと出場した過去のケースコンペの経験が大きな役割を果たしました。特に、昨年Purdue Universityで開催されたケースコンペでは、Final Roundを経験することができ、自分たちの強みや優勝するために必要なことを具体的に知ることができました。Masaも書いていますが、渡米してまもない日本人だけでは、コンペで結果を出すことは難しいでしょう。私の勝手な推測ですが、ひとまずコンペに参加するものの、厳しい結果を突き付けられ、そこで再度トライするのをやめてしまうという日本人留学生も少なくないのではないでしょうか。
UNCでは、2年生が1年生を連れてコンペに出場し、その1年生が翌年2年生として新たな1年生を連れて出場する、という流れが脈々と受け継がれています。当然、全てにおいてうまくいくわけではないですが、2年生に率いてもらうことで、比較的チャレンジしやすいですし、ケースに取り組む中で、2年生から直接学ぶ機会も増えます。
実際、ここ5年で、UNCの日本人は、学外のビジネスコンペで優勝3回、準優勝2回、3位3回と素晴らしい成績を収めており、成功体験が刺激となって周りに伝播していくという好循環が生まれていると感じてます。MBAでぜひケースコンペにトライしてみたい!という熱い思いをもった方がUNCの門を叩いてくれることを楽しみにお待ちしています。

Hisato:自分のように英語がそこまで達者でない日本人でも、今回米国企業から高く評価をされるビジネス提案をできたことは非常に誇らしいですし、今後のキャリアを歩む上でも自信をもつことができました。
今回の勝因はいくつかありますが2点だけ紹介します。1点目はチームメンバーのdiversityを活かすことができたことです。日本人だけのチームでdiversity?と思われる方も多いかもしれませんが、同じ日本人でも出身業界・職種が違うとものの考え方が結構違うものです。その多様性を活かすために日本語で徹底的に議論を重ねたこと(そのようにチームのグラウンドルールを作ったこと)が大きな勝因だと思います。(思えば社内の人と仕事をしていても、考え方も似通っているし、色々な上下関係があって思うように多様性のある議論ができていないなぁ、とMBAに来て強く実感しました。)
2点目はUNCの良く練られたコアカリキュラムです。まず今回のケースではOperationやStatisticsの知識をフルに動員する必要がありましたが、基本的にはコアの授業で学習した内容を多分に活かすことができ、レベルの高い分析ができました。加えてUNCではProfessional Communication, Managerial Communicationといったプレゼンの授業も必修化されており、良いスライドデザイン・プレゼンの仕方を学ぶことができます。1st round通過後はこの授業で学んだことを生かして、分析の精緻さをアピールしつつもビジネス提案としてのbig pictureを示すようなスライドデザインを行い、プレゼンの実践練習を行いました。
ということで2点目のバランスのとれたコアカリキュラムは当校の強みであり、今回のケースコンペ優勝でその強みを証明することができたと思っています。MBAで幅広い経営知識を身に着けたいかたは是非当校へ!

Masa:他のメンバーが私の言いたかったことをほとんど代弁してくれていますので、私は少しだけ違う角度から。
今回、久しぶりに日本人のメンバーでチームを組みましたが、本当に熱心で、協力的で、緻密な作業ができる最高のチームだったと感じました。入学してからこれまでの1年半、世界各国出身の、多様なバックグラウンドを持つメンバーとチームワークをこなしてきましたし、もちろんその時々で素晴らしい経験をさせてもらいました。ただ、これだけ全員が一丸となって精一杯やりきった、と言い切れるチームは、今回が初めてだった気がしています。
そして、振り返って思うのは、去年同じメンバーで同じコンペに臨んでいても、きっと1位という結果には届かなかったのではないか、ということ。留学生活でそれぞれが苦労しつつ、吸収して得たもの(理論やハードスキルだけではなくて、「何が大切か」を見抜く力とか、ストーリーの語り方なども含めて)と、持ち前の協調性と真面目さが相俟って、最高の結果に結びついたのだと思っています。ちょっと驕った言い方かもしれませんが、自分の成長を実感できる良い機会になりました。これからMBA留学を迎える皆さんも、ぜひ様々なケースコンペに挑戦してみてください!
Olinのスタディルームで最後の仕上げ
栄光の瞬間
見学で訪れたMonsanto社研究所にて

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