2014年5月17日土曜日

MIT Operations Simulation Competition で5位に入賞!


少し報告が遅くなりましたが、MIT Operation Simulation Competitionに参加し、世界中のMBAから参加している204チーム中5位という好成績を納めることができました。昨年3位から2つポジションが落ちましたが、2年連続でこういった成績を残すことができ大満足です。

昨年のMIT Operation Simulation Competitionに関するブログはこちらです。

本ケースコンペティションは200を超えるチームが参加する、Operation分野で有名な大会です。大会ではシミュレーション上の仮想の生産ラインを用いて、いかに多くのキャッシュを生み出せるかを競います。シミュレーションは休みなしに72時間続き、ちょっと話をしている間にも、どんどんシミュレーション上の時間は進んでいきます。なので、判断は常に時間勝負。そして夜も時間が進んでいくため、眠る時間も十分に取れず、体力勝負な部分も大きいです。

ケース中では需給予測、各工程の生産能力予測、在庫管理、キャッシュフロー管理など行う必要があり、まさにオペレーションの重要な要素が詰まっています。これらを勘案した上で、原材料の発注量や、投資タイミングなどの意思決定をしていきます。ただし、判断に必要な情報のすべては与えられず、また、判断に必要な情報は、その都度変わってきます。これらの不確定要素や情報の理解を巡り、限りある時間のうちで、チームで議論をして決めていきます。こういった状況は実際の経営判断と同じ部分があり、よくできたシミュレーションだと感じさせられます。
このケースを通じて、感じたことを3つ書いていきたいと思います。

1. UNCのコア科目のクオリティの高さ
UNCって実はOperationではあまり有名じゃない学校です。他の分野(例えばFinanceやMarketing)でも、特に名が知れているとは言いがたいです。しかし、この大会では15位以内にUNCのチームが3つも入りました。全204チーム参加している中、並み居る強豪校を抑えての成績であり、Kenan-Flaglerの一員として、非常に誇らしい結果です。また、実はUNCは他のケースコンペティションでも、結構な頻度で良い成績を収めています。これってどうしてでしょう?どうしてUNCがケースコンペティションでこんなに活躍できるのでしょう?考えたら、一つの仮説にたどり着きました。

それはコア科目のクオリティの高さです。UNCでは初めのMod I/IIの間、徹底的にコア科目を教え込みます。他のビジネススクールより休みが少なく、出席も義務、予習復習も多く、宿題も山のように出題されます。ネイティブのアメリカ人でもつらいと言う程なので、留学生にとっては本当に地獄です。しかし、一人も落ちこぼれないよう、教授陣は手厚いフォローアップをしてくれます。アポイントを取れば不明点をじっくり相談でき、週に1回はオプションの補習も開いてくれます。授業はすべて録画され、後で何回でも見直すことができます。さらに2年生もTAもとして、1対1で丁寧に教えてくれます。これだけやられたら、嫌でも基礎がしっかりと頭の中に叩き込まれます。

コア科目における、手厚いサポートについてはこちらのブログ記事で詳しく紹介しています。

基礎をしっかり鍛え上げることによって、専攻してない分野も、自信を持って学習した内容を適用できるため、様々な場面での応用力につながるのだと思います。今回のケースコンペティションも例外でなく、私はオペレーションを専攻していませんが、この基礎の部分がしっかり学習していたため、チームに大きく貢献できたと思います。この基礎を使用可能なレベルまで全員に理解させていることこそが、Kenan-Flaglerのカリキュラムの素晴らしいところだと思います。全員がコア科目をしっかり身に付けていることが、幅広いビジネスへの理解、そして応用力につながり、ケースコンペティションでの成果につながっていると、完全な主観ではありますが思っています。MBA取得後の実社会でも、今回のシミュレーション同様に、コア科目で叩き込まれた内容は必ず生きてくると思います。そういった意味で、ビジネスで基礎となる知識を、ただ学ぶだけでなく、使えるレベルまで叩きこんでくれたUNCのカリキュラムには大感謝です。

コア科目への深い理解が実った(?)グローバルケースコンペでの活躍については、こちらのブログ記事で紹介しています。

2. 見える化の重要性と、それを元に判断する能力の重要性
上で述べたように、与えられる情報は限られています。しかしそれだけでは、意思決定をすることはできません。手元に情報を組み合わせて、足りない情報を求めていく必要があります。そのためには、見えていない情報を見えるようにしてあげること(見える化)が重要です。日本の工場で勤務していた経験があるのですが、その時はIT化のおかげで様々な情報が自動的に求められ、一目で見ることができました。しかし、シミュレーション上では生のデータが与えられるだけなので、これを元に必要な情報を自分で見える化する必要があります。Excelでモデルを作成し、データを入力していくと、上辺の情報からは見えてこない、仮想工場内の問題が浮き彫りになります。こういったことは、頭では分かっていたものの、実際に自分で見える化をして、見えにくいシミュレーションの中で材料の動きが見え、問題が浮き彫りになると、「こういうことだったのか!」と見える化の意義を理解ができたのに感動しました。

エクセルのモデルを改善し続けて、見えない情報を見える化!

しかし、この数字から問題が見えたところで、それを元にどのように判断するかは、全く別の次元の話です。これは私の想像ですが、見える化に関しては、ほとんどの上位のチームはできていたと思います。しかし、結果的に1位から204位まで差がついた部分は、この次の段階の、どのように未来を予想し、考えられる選択肢を吟味し、意思決定をするかという部分です。現在の状態に注意を払いつつも、時間の制約がある中で、スピードと正確性を天秤にかけながら未来を計算、予想し、意思決定をするのは、限られた時間という資源を効率よく使う必要がありました。この判断力は直観によるものと考えられがちですが、1度2度なら偶然上手くいくかもしれませんが、72時間という勝負になるとそれは不可能です。必要なのは、計算から得られた数字を、正しく理解して未来を計算から予想する能力です。

幸い私たちのチームは致命的なミスを犯さずに5位で終わることができました。今思えば、MBAでの学習スタイルで多く見られる、ケーススタディやロールプレイは、限られた時間でデータの意味を理解し、意思決定を誤らないためのものであったと思います。

3. 家族の理解の大切さと負担の軽減方法
今回の72時間耐久コンペティションとなると、家族がいる場合は、その家族への負担も相当です。通常授業とその復習でなかなか家族との時間を作れない上に、週末を使ってコンペティションとなると、より家族との時間が減ってしまいます。家族には事前に説明をして、理解してもらいましたが、やはり多かれ少なかれ心苦しい部分もあり、中には家族の予定を優先するメンバーもいました。日本では、家族を優先するのは難しい部分もあると思いますが、こういった長期間のコンペティションとなると、家族の理解無しでは、作業に集中して考えられないと思います。そういった意味で、家族の予定とバランスを取りつつ、チーム作業の時間はコンペティションに全力を注いでくれたメンバーには感謝です。

チームで延々と議論した結果のホワイトボード。この時は1位になることを疑っていませんでした。

また、家族への負担を軽減するため、私たちのチームは、Google Hangoutsなどのツールを使用し、度々チームミーティングを在宅から行いました。この電話会議方式も日本では賛否両論だと思います。遠隔地で分かれたメンバーとタスクを行う場合、使用するテクノロジーの種類、打ち合わせ時のルール、データの共有方法など、様々な選択肢があります。一昔前に比べ、メンバーが分かれた状態でのチーム作業も、技術の進歩で一般的になってきましたが、やはりFace-to-Faceの打ち合わせに比べると効率的に議論をするのは難しい部分があると思います。

この点でとてもラッキーだったのが、今、受講しているEffective Virtual Teamという授業で学んだ内容をそのまま使えたことです。この授業では、遠隔地にメンバーが分かれたチームにおいて、いかに効率的にコミュニケーションを行い、大きな成果を上げるかを学習します。実際にはかなりの頻度で顔を合わせていたため、少し授業の内容とは少しずれますが、それでもGoogle Hangoutsを使ったコミュニケーションにおいて、応用できる部分が多くありました。今後、チーム作業におけるメンバー間の物理的な距離は、様々な理由から、伸びることはあれ、縮まることはないと思います。そのような状況では、チームを成功に導くことのできるスキルの重要性は増す一方であり、Effective Virtual Teamで培ったSkillは今後のキャリアの成功に欠かせない能力であると感じました。


上記の3点以外にも、チームで問題に取り組む重要性や、直観が当てにならないと分かっていても惑わされた意思決定など、書ききれない程の学びのあったCase Competitionでした。明日5/18には無事卒業式を迎え、再び実社会に戻ることになります。仕事が始まれば、日々の忙しさに学んだことを忘れそうになりそうですが、ここに記すことで、今後の自分の道しるべとしたいと思います。

2014年5月11日日曜日

Health Care系選択科目の紹介 (後半)


Class of 2014のWoodyです。
Health Care系選択科目の紹介 (前半)の続きです。

UNC Kenan-Flaglerでは、Concentrationの 1つとしてHealth Careが用意されていまして、本投稿では、前回紹介できなかったHealth Care系選択科目を紹介します。

Design & Delivery of Healthcare Systems
旧名Healthcare Operationsと言い、基本的にはコア科目で学んだ知識だけで、やや特殊扱いされがちなヘルスケア業界に切り込んでいきます(教授もコアのOperationsと同じです)。ヘルスケアシステムが価値ベース(value based)での報酬へ移行しつつある米国において、学生からの評判が高い授業です。

Current Topics In Health
現在の米国ヘルスケア業界の話題を扱います。2013-2014年度の場合、オバマケアが中心となりました。例えば、国民皆保険化による病院の収益への影響を計算したり、プロバイダー(病院+医者)と健康保険が垂直統合したモデルを評価したりしました。ヘルスケアによる生活の質の向上と、金銭的な持続可能性のせめぎ合いを勉強できるコースでした。

Healthcare Consulting Projects
その名の通り、ヘルスケアに特化したコンサルティングプロジェクトを集中的に行います。例えば、2012-2013年度の場合、Emailによる診療の研究、糖尿病のコスト管理、臨床研究における治験者募集の改善、等々が行われました。なお、STARプロジェクトでもヘルスケア関連のプロジェクト(製薬、健康保険、病院)もあり、UNCでは、ヘルスケア関連のビジネスにどっぷり漬かる機会が豊富にあります。

※本ブログの掲載内容は、2013-2014年度のコースについてです。年によってコースの増減がありますので、最新の内容は在校生に問い合せてください。